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戦争とヘリコプター

 

 3月20日の攻撃開始から5月1日ブッシュ大統領が空母エイブラハム・リンカーンの甲板上で戦闘終結を宣言するまでの1か月半ほどの間に、イラク戦争に投入された米軍ヘリコプターはどのくらいあったか。最近の米「ローター・アンド・ウィング」誌によれば、陸軍から約250機、海兵隊から約180機が中東へ派遣されたそうである。

 機種は陸軍機がAH-64Dアパッチ・ロングボウ、OH-58Dカイオワ・ウォーリアなど。また海兵隊機がAH-1WスーパーコブラとUH-1Nヒューイ・ウォーリア、MH-47、H-60など。これらのヘリコプターが装備する火器は2.75インチ・ロケット弾、5インチ・ズーニ・ロケット弾、ヘルファイア対戦車ミサイル、TOWミサイル、20ミリ機関砲(AH-1W)、30ミリ砲(AH-64D)、その他の爆弾類。またUH-1Nも2.75インチ・ロケット弾や7.62ミリ機銃または50ミリ。キャリバー砲の装備をしていた。

 攻撃任務のほかに、州兵のUH-1Vヒューイが36機で、負傷兵の救護搬送にあたった。また海兵隊のCH-46EとCH-53E、陸軍のCH-47は兵員輸送や補給輸送をおこなった。

 イラク軍の攻撃は激しく、AH-64Dだけでも30機以上が地上からの攻撃で損傷した。OH-58Dカイオワも被弾したものが多かったが、稼働率は91%を保持した、と書いてある。

 だが、この戦争でヘリコプターに乗っていて戦死もしくは事故死をした人も少なくない。いくつかの報道から死亡者について書かれたものを細かく見てゆくと、次のような実態が浮かび上がる。

3月20日:海兵隊員3人がヘリコプターで戦死
3月21日:英軍の8人がヘリコプターで戦死
3月22日:英海軍の2機のヘリコプターが空中衝突、6人死亡
3月30日:海兵隊員3人がヘリコプターで戦死
4月2日:陸軍大尉など6人、ヘリコプターで戦死
4月4日:海兵隊員、ヘリコプターで戦死
5月9日:陸軍兵3人がヘリコプター事故で死亡
5月19日:海兵隊員5人がヘリコプター事故で死亡

 合わせて35人のヘリコプターによる死亡が記録されている。同じような死亡リストにのっているイラク戦争の犠牲者はアメリカ人177人、イギリス人36人の総数213人だから、ヘリコプターによる死亡者は全体の16%を超える。

 また2か月間で35人とは1日おきに1人ずつ死んだことになる。これが多いのか少ないのか、戦争だから当然なのか、よく分からない。それにしてもヘリコプターは、低空を這い回るのが任務で犠牲も多く、いつも損な役回りをさせられているような気がするなあ。

 ここまで書き終わったところへ、テレビのニュースがイラク戦争における民間人犠牲者の数を報じた。3,240人以上だそうである。もっとも、これは病院で死亡した人の数で、爆撃などの現場で即死した人の数は含まれない。というよりも分からないからで、さらに数千人はいるだろうという。

 加えてイラク兵の犠牲者も不明である。戦争は、わずかな間に大量の人命を奪い去る。

(西川 渉、2003.6.11)

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