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<オスプレイ>

V-22の前途に明るいきざし

 

 V-22オスプレイは去る5月29日に試験飛行を再開したが、そのあと伝えられるニュースは必ずしも好いことばかりではなかった。試験飛行がうまくいったからといって、そのままV-22の調達につながるとは限らないといった国防省高官のおどし発言などである。

 しかし10月4日付のアメリカの新聞は、高官たちのティルトローター機に対する見解が変わってきたと報じている。国防省の調達と技術を担当するオルドリッジ次官も、これまでは最も批判的な1人だったが、最近その考え方を変えたというのである。

 これに対して、ペンタゴンの報道官は「オルドリッジ氏の立場は変わっていない。氏は試験飛行が完了するまでは何のコメントも発することはない」と頑固である。しかしベル社の方は、次官の見解が変わったとして「大いに勇気づけられた。V-22はわれわれの知らない秘めた可能性をたくさん持っている」と語っている。

 V-22は2000年に発生した2件の死亡事故で23人の犠牲者を出した。以来、技術面で未知の欠陥があるのではないかと疑われ、暗雲の下に沈んだような状態にあった。この間、油圧系統、操縦系統、コンピューター・システムなどを改修し、空力的な問題についても充分に理解を深めた。その上で、オルドリッジ次官が一連の飛行試験を徹底的におこなうよう指示を出して、飛行再開となったわけである。

 オスプレイは、この10月初めまでの4か月間に20回、47時間近い飛行をした。この間すべてが順調で、予期以上に良好というのが試験を担当する海兵隊の見方である。

 ただし最大の問題、ボルテックスリングについては10月末から試験がはじまるので、予断は許されない。

 最近、国防省の2人の高官が相次いでパタクセントリバーの海軍テスト・センターを訪れた。これらの視察によって、2人の高官の心証は好感に変わったのではないかというのが大方の見方である。

 このうちオルドリッジの視察は9月6日だったが、「彼はこれで、V-22が使えることが十分わかったはず」という人もいる。「あれほどの有能な人ならば、V-22の飛んでいるところを一目見れば、これが何ものであるかは直感で悟ったにちがいない」と。

 もう1人のウォルフォウィッツ国防次官もパタクセント・リバーでV-22の飛行試験を視察し、海軍と海兵隊の説明を受けた。その結果、ワシントンに戻った後、なんとV-22の採用予定のなかった陸軍に対しも同機の使用について検討するよう指示を出したというのである。

 指示の内容は、陸軍の今後の戦闘場面における「ティルトローター技術の役割について」書面を出すようにという9月26日付けのメモであった。周知の通り、かつては米陸軍もV-22の採用を考え、用法について検討したことがある。しかし、当時の結論は不要というものだった。

 ところが、ここでもう一度ティルトローターを活用する必要はないかどうか、その概念を整理してもらいたいというのがウォルフォウィッツ次官の要求である。たとえば「戦場において兵員や物資の移動のためにティルトローター技術を使えばどうなるか、機動力や戦闘力が増すのかどうかを検討するように」と。

 ウォルフォウィッツ次官は空軍に対しても「V-22が2003年5月にゴーということになった場合、CV-22の配備を促進するにはどうすればいいか」という質問を発している。「ティルトローター技術を早急に実用化するため、CV-22の生産、改修、試験、訓練などについて今後、計画を修正すべき点があれば報告せよ」と。

 いうまでもなく空軍は50機のCV-22を調達し、特殊部隊に配備する計画である。これによって敵の背後に特殊任務要員を送りこんだり、敵陣営の中で撃墜された味方機の乗員を救出したり、その他の特別任務に当てることにしている。

 そのためのスケジュールは、これまで2009年に配備ということになっていた。ウォルフォウィッツの指示は、これでは遅すぎるというのかもしれない。あるいは、この人は、ティルトローターが何であるか、ヘリコプターと飛行機を組み合わせたハイブリッド機であることを、おそらく知らされていなかったのではないかという見方もある。

 いずれにせよ、国防省の高官達のこうした動きは、ティルトローターの将来にとって大いに勇気づけられるものであろう。

 一方、海兵隊は一連の試験飛行の結果がうまくゆけば、360機のMV-22を調達する予定である。老朽化した現用ヘリコプターに替わって、兵員の進攻輸送に使うためだが、うち50機は空軍同様の特殊任務に当てることにしている。

(西川渉、2002.10.7)

 

【関連サイト】
 
<垂直レポート>V-22試験飛行を再開(2002.6.3)
 
<垂直レポート>不死鳥となれ、ティルトローター機(2002.5.28)
 
<垂直レポート>ティルトローターの運命(2002.4.22)
 
<緊急レポート>どっこい、BA609は生きている(2002.3.25)
 
<HAIレポート>本当に夢幻だったのか(2002.3.22)
 
<緊急レポート>BA609ティルトローター開発中止か(2002.3.18) 

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