
<ヘリエクスポ2004>
二つの無人機 ![]()
近頃、英米の航空雑誌はまるでリモコン雑誌か何かのように変ってしまった。無人機のことばかり書いてあるからだ。いずれは軍用機のみならず旅客機も無人操縦になるというから、ますますリモコン雑誌になるのであろう。
日本の航空法では、最初に航空機の定義があって「この法律において”航空機”とは人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機……」と書いてあるから、人の乗らない無人機は航空機ではないはずである。もっとも英米の航空法で"aircraft" の定義が有人でなければならないのかどうか、それはまだ調べていない。
無人機(UAV)がもてはやされるようになったのは最近10年足らずのこと。アフガニスタンやイラクの戦場に投じられたUAVがきわめて有効に機能したためである。しかも人が乗っていないから人命の心配をする必要がない。これからは、ますます重視されるようになるであろう。
無人機が航空機であるかどうかはともかく、今年のヘリエクスポでも、シュワイザー333を基本とするファイア・スカウトとベル・イーグルアイの2機種が展示された。
![]()
ファイア・スカウトはシュワイザー333を基本としてノースロップ・グラマン社が開発した無人の斥候ヘリコプターである。試作機はRQ-8Aと呼ばれ、これまで海軍向けに5機のRQ-8Aが製造された。このうち2機は実験機で、104回の試験飛行を完了した。次の3機は前量産型で、総重量は1,200kg。
これらの試験結果にもとづいて、このほど実用型RQ-8Bの開発契約が結ばれた。同機は総重量を1,428kgに上げて、搭載量を増やすもの。トランスミッションを強化するほか、機首を延ばしてテールブームを大きくし、今よりも大きなアンテナやセンサーが搭載できるようになる。
エンジンはロールスロイス250-C20Wターボシャフトが1基。高度6,000m以下を巡航230km/hの速度で4時間飛びつづけることができる。
この海軍向け陸軍向けRQ-8Bファイアスカウトを基本として、このほど陸軍との間にも、向こう8年間に7機を製造する契約が結ばれた。これには陸軍固有のアビオニクスを装備するが、海軍機との間にはできるだけ共通性をもたせるという。陸軍向けRQ-8Bが実用になるのは2011年の予定。
(ファイアスカウト)一方、ベル社が開発中のイーグルアイは、無人ティルトローター機である。そのため警備艇のせまい甲板上でも発着し、ターボプロップ機と同じように高速で長距離を飛ぶことができる。というので、米沿岸警備隊の沖合展開のためにロッキード・マーチン社を経由して69機の予備契約を受けている。
目下、沿岸警備隊の目的に合わせた試験飛行が進んでいるが、2006年には実用化の見こみ。
(ベル・イーグルアイ)なお現在飛行中の試作機は8分の7のスケール・モデルで、実用機は一と回り大きくなる。両者の基本データを比較した表が下のようにHAI大会で展示されていた。
(西川 渉、2004.4.12)
(表紙へ戻る)