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撃墜されるヘリコプター ![]()
イラクの戦場で、しばしば米軍ヘリコプターの撃墜が伝えられる。最近の「アビエーション・ウィーク」誌(2004年1月12日号)によれば、イラク戦争で事故または撃墜のために失った米軍ヘリコプターは数機という。しかし本当のところは明かではなく、実際に米陸軍の台帳から消されたヘリコプターは、AH-64アパッチが7機、UH-60ブラックホークが3機、CH-47チヌークが7機、OH-58カイオワウォリアが6機に上るという。
これだけ多数の機材がやられたことから、米陸軍はヘリコプターの防護装置を強化する必要にせまられている。敵ミサイルの探知装置や反撃のための火器装備である。たとえば敵の小火器にねらわれた場合、乗員が気づかぬうちにやられることが多い。そこで小火器であっても、ミサイルがせまったときには、そのことを警報音で知らせるようなことはできないか。またコクピットの装甲をさらに強化するとか、乗員のヘルメットを改良するなどの手だても考えられれている。
ヘリコプターの騒音を隠すために、わざと騒音の大きな無人機を飛ばすことなども考えているらしい。敵がそちらの方に気を取られている間に、有人ヘリコプターが本来の目的を果たそうというのだろうか。一方では、現用ヘリコプターの騒音を小さくする研究も盛んにおこなわれている。
また赤外線追尾ミサイルを避けるための装備も、改良が進んでいる。ヘリコプターの飛行経路も問題で、いつも同じ経路を飛んでいると敵の予想するところとなって、狙われやすい。最近は、さまざまな経路を飛ぶようになり、高度も高く取り、昼間よりも夜間の飛行が多くなった。むろん暗視ゴーグルは必需品である。
こうしてみると、昔から言い古されたことだが、戦争は航空技術の進歩をもたらす。良かれ悪しかれ、事実である。ヘリコプターの騒音が敵に気取られぬほど小さくなって、民間機にも応用されるようになれば、これは大変な貢献といってよい。
それにしても、これだけ多くのヘリコプターが撃墜され、米軍の死者が何百人にもなり、ヘリコプターに乗っていた死者だけでおよそ150人ということからすれば、このイラク戦争は矢張り、どこか無理があると思わざるを得ない。第一、米軍機が撃ち落とされているロケット弾やミサイルは、かつてアメリカがイラクに供与した火器ではないのか。
米軍はそれらを回収するため、持参したものには1発につき500ドルの懸賞金を出すらしい。しかし、よほど潤沢に供与したのか、ゲリラの攻撃力は少しも衰えを見せない。まことに皮肉なヘンな話である。
(西川 渉、2004.1.16)
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