
<劇症肺炎SARS>
弱きをくじく ![]()
劇症肺炎SARSが航空界で猛威をふるっている。不況とイラク戦争で弱っているところへ、猫が鼠を取るように襲いかかってきた「猫型肺炎」のために、どこのエアラインも軒並み乗客が減ってしまった。
極端なのは香港のドラゴンエアで、乗客数が76%減というから、4分の1以下に落ち込んだことになる。具体的には、4月の乗客数が72,000人。昨年4月の297,000人に対して24%しかなかった。
無論SARSの影響によるもので、毎日100万USドル(約1.2億円)ずつの損失を出していることになるという。会社は従業員に対し、9月までに4週間の無給休暇を取るよう要請した。
また、同社が2機を発注していたエアバスA321旅客機は、2003年末の引渡し時期を2004年夏へ延ばすことになっていたが、さらに2005年まで延ばすようエアバス社と話し合いをしている。
香港の例はSARSの発生源に近いだけに最もきびしいものであろう。しかし、似たような話は世界中のどのエアラインにも生じているはず。IATA(国際航空運送連盟)によれば、SARSの影響は9.11テロとイラク戦争を合わせたよりももっと深刻で、今年のエアライン業界は100億ドル(約1.2兆円)の損失を出すだろうと見ている。
WHO(世界保健機構)によると、飛行機の中でSARSに感染した人はこれまで16人。すべて特定の4便に乗っていた人ばかりで、そのうち14人はSARS患者から4席以内にすわっていた乗客、あとの2人はスチュワーデスだった。
しかし、これらの感染は3月23日以前、体温測定など空港でのSARS対策がはじまる前の飛行便である。そうした対策を講じるようになってからは機内感染の危険は大きく下がっていて、実例もない。
もとより今後、SARSの感染者が旅客機に乗ってくる可能性がないとはいえない。けれどもSARSは、症状が出ていなければ伝染性もない。したがってSARSの症状が出ているような人を事前に見つけて、飛行機にのせないようにすればいいわけである。言い換えれば、搭乗前のチェックを世界中の空港で適切におこない、SARSの症状の有無を調べる必要があるということになる。
もはや世界は一体である。病原菌の前に国境は存在しない。こうした疫病対策を特定の国だけがおこなっていても、SARSはどこからでも入ってくる。世界中の国が足並みをそろえて対策を講じなければならない、というのがWHOのジュネーブ会議の結論であった。
さて身近な話だが、6月なかばのパリ航空ショーへ行くか行くまいか。考えあぐねて、あるドクターに相談したところ、次のようなお答えをいただいた。
「基本的に欧州は安全圏と考えられています。しかしながら、同じ飛行機に乗り合わせている乗客や、空港内でたまたま接触した相手がSARSウイルスに罹患している場合には、発病する可能性はゼロではありません。最近のニュースに出てくるスーパースプレッダーがこれにあたります。どうしてもというのでなければ、旅行を延期されることをお勧めします。もし、どうしても行くのであれば、N95マスクを持参して、これを常に使用してください」
そこで早速、薬屋へマスクを買いに行った。するとN95マスクは品切れで、当分はどこへ行ってもないだろうという。やむを得ず、薬屋の推奨する代用品を買ってきたが、果たして効くのかどうか、いささか心もとない。
そんなこともあって、新聞やテレビのニュースに気をつけていると、ジュネーブで開かれたWHOの会議に台湾の出席が中国の反対で実現しなかったという。そもそも中国はこの問題の元凶である。あとは世界中が被害者であるにもかかわらず、加害者が勝手なことを言って、それを認めてしまったのである。
中国が人命を軽視し、政治と建前を優先するのは勝手だが、盗人猛々しいとはこのことで、盗人の言い分を許した国連の弱腰はどうしたことか。日本を初め世界中の会議出席国は恥を知るべきであろう。
台湾では、WHO会議から閉め出されたせいか、SARS患者と死亡者が増えている。ということは元凶中国が二重の罪を犯したわけで、それを認めたWHOと、中国の言い分を認めた会議の参加者も共犯ということになる。
その台湾から患者の1人が日本にもやってきて、ウィルスをばらまいて行ったというので大騒ぎとなった。例によって厚生省の対応の遅れが問題となっているが、いつものことでバカは死ななきゃと思うばかりである。
それにしても、日本人の台湾に対する傲慢な態度は何であろうか。沖縄などは台湾人の実質上の入国拒否を通告するし、各地のホテルは台湾人の宿泊お断りを貼り出した。そんなことなら、もっと早くから元凶の中国に対して同じことを申し入れるべきではなかったのか。
朝日新聞なんぞは台北駐在の記者が、記者会見の席で登壇した相手を指さしながら、その指を振り回して何度も何度も怒声をあびせかけるという熱血ぶりを見せてくれた。当然のこと、台湾側はこの記者が無礼だといって怒っている。
これが中国ならば直ちに国外退去になったであろう。そうはならなくとも、朝日新聞社としては自ら進んでこの記者を台北から引き揚げ、平壌か北京へ派遣してはどうだろう。あの勇ましさをもって北朝鮮の当局者に拉致問題の解明をまくしたててもらいたいものである。もっとも北朝鮮で記者会見があるのかどうか。ないとすれば外務省に出向させて北東アジア局長の補佐にでも任命し、北朝鮮や中国との外交交渉の場で先方と渡り合って貰いたい。あの傲慢、強引な言動ならば、北京や平壌に行っても相手を完膚無きまでに叩きのめしてくれるだろう。
ともかくも今回、思わぬ発見だったのは、台湾に向かって発揮された日本人の勇猛ぶりである。次は是非ともこれを中国や北朝鮮に向かって発揮して貰いたいものである。SARSなどは軽く吹き飛んでしまうだろう。
(害無笑、2003.5.22)
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