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<シコルスキー>

超重量ヘリコプター構想

 
(CH-53)

 

 シコルスキー社はCH-53Eの2倍の搭載能力を持つ超重量ヘリコプターの開発構想を明らかにした。これは先頃ワシントンで開催された米陸軍航空協会の会合で発表されたもの。

 米陸軍の未来輸送システム(FTS)の一環となるアドバンスド・マヌーバー・トランスポート(AMT)の要求に応え、搭載能力と航続性能が大きく、輸送能力の高いヘリコプターの開発計画である。

 機体形状は、同軸反転式のローターシステムで、ローター直径は39.6m。ブレードは翼弦が大きい。また胴体を小さく自重を軽くして、機外吊下げ能力の増大をはかっている。したがって形状はコンパクトで、搭載能力の大きい超重量機ということになる。

 もうひと大きな特徴は、通常の有人機のほかに、コクピットを取り外して無人機とする形態も提案されている。今の無人機が偵察を主任務とし、最近は攻撃能力をもつものが出てきたが、将来は輸送任務もにも当るというわけである。

 エンジンは3基。出力はCH-53Eと同程度である。総重量は62,000kg、自重は24,400kg。これで20トンの重量物を搭載して1,850kmを飛ぶことができる。最大速度296km/h。これらの能力をCH-53Eに較べるならば、下表の通りである。

    

超重量ヘリコプター

CH−53E

総重量

約62トン

約33トン

自重

約25トン

約16トン

最大ペイロード

約20トン

約14トン

最大速度

296km/h

315km/h

航続距離

1,850km

96km

エンジン出力

CH-53Eにほぼ同じ

4,380shp×3基

ローター直径

39.6m

24.08m

 エンジン出力はほぼ同じといいながら、総重量が2倍近く、吊上げ能力も1.5倍に近いのは、ローターの能力を高めるからであろう。2重反転である上に、直径はCH-53Eに対して1.64倍である。 


英『フライト』誌の報じるシコルスキーの超重量機。
胴体は比較的小さく、コクピットのない無人機(上)も提案されている

 

 こうしたAMTは、現用CH-47FチヌークやCH-53Eの後継機をめざすものだが、両機ともに目下近代化計画がすすんでいる。けれども米陸軍の考える将来構想には適合しないため、新しい構想を2008年までに実用化したいという考えである。

 このシコルスキー社の提案に対抗して、ベル社はQTRで応じることにしている。またボーイング社は主翼の一部がティルトする短距離離着陸機を提案するもよう。どちらも機内に搭載するもので、形状はシコルスキー案よりはかなり大きい。

 米陸軍がこのようなAMT開発構想を明らかにしたのは2001年11月であった。垂直飛行が可能で、標高1,200m、気温35℃のところで離着陸しながら、20トンの搭載能力を有し、戦場では敏捷な運動性をもって、航続性能は進出距離にして半径500kmという条件である。これほど大きな輸送力を持った垂直離着陸機は、むろん現状では存在しない。

 本頁では一昨日、NASAの求める民間向け滑走路不要機(RIA)についてご紹介したが、上の構想は軍用向けの大型RIAである。どちらもアメリカのヘリコプター・メーカー3社がそれぞれに技術的な構想を固めつつある。いずれは、軍民双方の技術が相互に乗り入れることも考えられる。

(西川渉、200.3.1.24)

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