<ヘリコプターの本領>

濁流の広瀬川から吊上げ救助

  

 去る7月11日、日本の東海岸沿いに北上した台風6号で仙台市を流れる広瀬川が増水、朝早く、中洲に取り残された男女2人が宮城県の防災ヘリコプターと仙台市の消防ヘリコプターで救助された。

 その一部始終がテレビ・ニュースで詳しく放映された。茶色く濁った濁流の中で、胸まで水につかって樹木にしがみつく2人。その生い茂った枝葉の間へ、上空約20メートルからホイストで降下する救助隊員。ダウンウォッシュで樹木が激しく揺れ動き、風圧で枝が折れるなどして、なかなか2人のところへたどりつけない。

 やっとのことで手が届くところまで降りた途端、2人にしがみつかれ、今度は救助隊員が逆さまになって水中に引きずりこまれそうになる。

 隊員が声をかけるが、ヘリコプターの騒音がやかましく、濁流の轟音もあって、人の声などは聞こえない。それでも何とかして、先ずは女性の方に浮き輪をかけ、隊員が抱き抱えるようにして引っ張り上げる。

 途端に男の手が樹木から離れ、急流に流されそうになる。かろうじて下流の樹木につかまっり踏みとどまる。そこへ2機目のヘリコプターが飛来、これも気流と水流との格闘の末に吊上げ救助する。


宮城県防災ヘリコプターが先ず女性を救助

 私は、このニュースから2日ほど経って、現場に飛んだパイロットの1人(仙台)に電話をした。たった今、知事や市長から表彰状や感謝状を受けて戻ってきたところだった。

 救助飛行のときは、30分ほど前まで、風雨が強く飛行できるような状態ではなかった。それが運良く、ということは救助された2人の運が良くて風雨が収まり、県の防災ヘリコプターと市の消防ヘリコプターが2機そろって出動することになった。

 最初に女性の方を助けたのは防災ヘリコプター。後の男性は消防ヘリコプターによる救助である。テレビで見る限りは、最初の救助の方が手間取ったように見えた。

 午前7時半頃の通報から2人の救助が終わるまでの時間は、ほぼ45分間。終了は午前8時15分頃だったという。


仙台市消防ヘリコプターが男性も救助

 こうした救助や救急は、それ自体が危険を伴う仕事である。その危険を顧みずに現場に飛びこんでゆく人の献身ぶりにはどんなに謝辞と賛辞を贈っても足りるはずはない。

 われわれヘリコプター関係者は、身を挺して危険に挑む救助隊員が安全で充分な働きができるよう、作業環境を整えてゆく義務を負うものと考える。

(西川渉、2002.7.18) 

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