<米ヘリコプター救急>

リーチ・エア・アンビュランス近況

  

 米サンフランシスコ近郊でヘリコプター救急事業を展開するリーチ・エア・アンビュランス社は、このほど本拠地のソノマ・カウンティ空港の一角に大きな施設をつくることになったと伝えられる。

 筆者がこの会社を訪ねたのは2年ほど前だったが、下の写真に見るようなプレハブ2階建ての社屋だった。それをもっと大きな建物にするらしい。新しい施設は大きな格納庫、事務所のほか、乗員の夜間待機のための宿直室などが含まれる。敷地は空港当局から借用し、今年中に完成する予定。建設費は200万ドル程度とか。

 格納庫ができれば航空機の野ざらしを防ぐばかりでなく、整備作業がやりやすくなる。そうしたことから機体の安全性が向上するというところが最大の利点である。風雨の野外で、航空機の精密部品の整備点検作業をするのは、どんな手違いを招くかもしれず、やはり問題である。


空港の一隅にあるリーチ・エア・アンビュランス・サービス社。
プレハブ2階建ての本社の前に救急機が待機している。

 リーチ社は現在、ヘリコプター9機と飛行機3機を運航している。ソノマ・カウンティ空港からは毎月平均ヘリコプターが60件、飛行機が40件の出動をしている。

 最近増えている需要は病院間搬送で、それも必ずしも緊急患者ばかりではない。しかし容態の安定した患者でも、より高度な治療のできる病院へ搬送するには、地上の救急車では時間がかかりすぎて患者に体力的な負担がかかったり、また救急車が出払っていて都合のよい時間に走ってくれないなどの問題がある。

 そこでリーチ社のような航空機を使うことになる。そうした患者搬送にあたって、リーチ社ではフライト・ナースや医療の専門技士を同乗させ、飛行中も地上の病院と連絡を取りながら、必要があれば医療処置をしながら搬送する。

 具体的に、たとえばウキア病院から大きなメモリアル病院へ患者を搬送する場合、救急車では道路の渋滞がなくても2時間はかかるが、ヘリコプターならば20分で到着する。しかもメモリアル病院の屋上ヘリポートに直接着陸することができる。これはリーチ社の使っているヘリコプターがアグスタA109という比較的小柄の機体だからである。

 そのうえA109は高速飛行性能にすぐれ、双発で計器飛行も可能。サンフランシスコに多い霧がかかったような気象条件の悪いときでも飛ぶことができる。

 航空機の搬送代金は、ほとんどの場合、患者の医療保険によって支払われる。金額は、たとえばボーデガワンからサンタローザまで6,000〜7,000ドル。救急車ならば1,500〜2,000ドルである。

 リーチ社はこれまでソノマ・カウンティ空港のほか、サクラメント、コンコードを合わせて3か所に、ヘリコプターを配備して救急業務にあたってきた。が、この6月からレイクポートにも配備することになった。このレイクポート機はレイク・カウンティとメンドチーノ・カウンティの救急需要に応じるためで、過去1年半の間に出動要請が1.5倍になったという。

 なおリーチ社は、筆者の訪問した当時はソノマ・カウンティと10年契約を結び、シェリフ・ヘリコプターとしても飛んでいた。しかし警察業務にあたるパイロットは救急業務とは異なる訓練が必要で、余分な費用がかかる。というので最近、契約なかばで双方合意の上で取りやめたらしい。

 この警察業務にはベル407単発機を使っていたが、リーチ社の後を引き継ぐアビエーション・サービス社が同機を約120万ドルで買い取り、使用するもよう。同社はまたリーチ社のパイロット2人を雇用することで交渉中。

 以上、最近のニュースは地元ソノマ・カウンティの「ザ・プレス・デモクラート」紙2004年6月28日付と30日付より得たものである。

【参考頁】リーチ・エア・アンビュランス社訪問記

 病者のための献身飛行

 リーチ・エア・アンビュランス社
 
飛行機とヘリコプター
 
ヘリコプターの出動
 
計器飛行
 
すべては病者のために


救急機の説明をする運航部長のヴィッキー・スペディアッチさん。
ヘリコプターと飛行機の両方のパイロットでもある。

西川 渉、2004.7.6)

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