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<パリ航空ショー>

A380を大量発注

 パリ航空ショーのニュースが少しずつ届きはじめた。一つは6月14日、ルブールジェの会場上空にコンコルドが飛来、シラク大統領の前で最後の飛行を見せて着陸、航空宇宙博物館の展示場所に落ち着いたというものである。

 しかし今回のパリ航空ショーには大きな問題があって、アメリカの軍用機が少ない。世界最大の軍用機メーカー、ロッキード・マーチン社も参加していないとか。軍の高官たちの姿も見えない。

 それというのもペンタゴンのフランスに対する怒りがまだ収まっていないからという。展示された米軍機はわずか6機で、例年の大量展示にくらべると皆無に等しい。特に飛行展示はゼロで、こんなことはライト兄弟の初飛行から6年後、1909年の第1回パリ航空ショー以来初めてのことである。

 またアメリカの民間企業の参加も少ない。前回2001年は350社だったが、今年は183社とほぼ半分。明らかにペンタゴンの顔色をうかがって、遠慮したところが見える。

 だが景気の良いニュースも伝えられる。一つはドゥバイのエミレーツ航空がA380超巨人機(555席)を21機発注したというもの。金額にして125億ドル(約1.5兆円)に相当する。同機は2006年から就航の予定である。A380に加えて、エミレーツはA340-600を18機とA340-500を2機発注し、さらにA340-600とA380を2機ずつリースする契約を交わした。これでエミレーツの発注したエアバス機は110機になる。そのうち45機がA380で、世界で最も多い。

 ほかに同航空は、ボーイング777についても26機をリースすると発表した。ただし、これは新製機の発注ではなく、リース会社がすでに発注していたもので、ボーイング社としては新しい注文増にはならない。エミレーツは現在ジェット旅客機を48機、貨物機を3機運航している。


エミレーツ航空のA380想像図(エアバス提供)

 こうしたことからエアバス社は今年に入って197機の注文を受けたことになる。対するボーイング社の新製機受注数は38機に過ぎない。その結果、エアバス社は今年300機の生産を予定しているが、ボーイング社の方は280機の予定だから、その通りならば史上初めてエアバスがボーイングを抜くことになる。昨年はボーイングが381機、エアバスが303機を引渡した。

 なおボーイング社は、A380のような超大型機は向こう20年間に320機程度の需要しかないと見ている。

 エアバス社がエミレーツ航空から大量の注文をうけたとはいえ、エアライン業界が回復に向かっているわけではない。9.11テロ直前の状態にもまだ達していない。おまけにユナイテッド航空やエア・カナダといった最高位の航空会社が破産法の下にあるという状態で、エアラインの経営環境は史上最悪の状態にあるといってよいだろう。

 もう一つニューヨークの低運賃航空ジェットブルーはブラジル・エムブラエル社の新しいリージョナル・ジェット、190を100機発注し、さらに100機仮発注した。ジェットブルーの独自の経営と躍進ぶりについては、別にご紹介したい。

西川 渉、2003.6.17)


ルブールジェに飛来したボーイング777-300ER

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