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<パリ航空ショー>

ボーイング7E7


7E7 

 ボーイング社は超高率(Super Efficient)を標榜する7E7旅客機の開発構想を進めつつある。この計画は今年1月29日に明らかにされたもので、200〜250人乗りの中型ワイドボディ機。現用767の後継機として、それよりも燃料消費が17〜20%少なく、13,000〜14,500kmの航続性能を有するという。

 最も大きな特徴は経済性で、運航費は767より15〜20%ほど安くなる。もうひとつの特徴は機体の構造部材に複合材を使用すること。これは旅客機としては初めての試みで、胴体と主翼の基本構造が複合材で製造される。これで重量が軽くなり、耐久性が高まる。

 従来は一般的に、複合材はコストが高いと見られていた。しかし、必ずしもそうではないというのがボーイング社の主張で、最新の技術による複合材は、コストの犠牲を払うことなく、重量を下げ、耐久性を高めることができるという。

 こうした7E7について、ボーイング社は目下、主要エアラインの意見を聴いており、最終的な仕様を固めて、今年末か来年初めまでに正式開発着手を決める予定。そうなれば2005年から原型機をつくり、2007年に初飛行、2008年に就航という日程で計画が進めるとしている。

 その製造に参加するのは世界5か国から21社。いずれもリスク負担のパートマーとして仕事をする。日本からも松下アビオニクスや帝人精機が名乗りを上げている。

 ボーイング社の予測によれば、このクラスの旅客機は今後20年間に3,000機の需要があるという。 

 7E7について、ボーイング社がもう一つ豪語するのは、最終組立てを3日間で終わらせるというもの。今の大型ジェット旅客機はさまざまな部品類を最終組立て工場に運び込み、それが飛行機の形になって後方のドアから滑走路へ出て行くまでに2〜4週間を要する。それがが3日間ですむというのである。

 そのために人手がかかるようならば、何ら自慢すべきことにはならないが、工員数も減る。たとえば今のボーイング・ジェット旅客機の最終組立には工数にして5,000〜10,000人分がかかっているが、7E7は800〜1,200人ですむという。

 そのためには相当程度まで組み上げた大型構成部品を工場に持ち込み、工場では結合するだけというのが最終組立工場の役割となる。したがって大きな組立部品を運びこむには船が必要になり、工場が臨海地になければならない。

 最終的な工場の形としては、大きさが65万平方フィート、すなわち18,600坪で、従業員は1,200人程度になると見られる。ただし、これには部品補給施設や飛行試験施設などは含まれないから、そうした関連施設も隣接して必要になる。

 そこで7E7の製造工場をどこへ設けるか、というのが次の課題である。ボーイング社に対しては、目下、全米14の州から工場誘致の提案がきている。誘致条件の中には免税、減税、土地の提供などが見られる。

 余談ながら、7E7の工場誘致にあたって、州政府が減税や免税の条件を提示している点が注目される。日本では今「三位一体」の政策が論議されていて、地方への交付金や補助金を減らす一方で税源を移譲しようという政策が論議されている。これが実現すれば地方自治体が最初の何年間は減税といった条件で大きな企業や工場を誘致しやすくなるかもしれない。

 7E7について、ボーイング社は新しい愛称を公募していたが、その結果をパリ航空ショーで発表する。候補に挙がっているのは「ドリームライナー」「eライナー」「グローバル・クルーザー」「ストラトクライマー」の4種類だそうである。

 とはいえ、愛称募集などで計画を盛り上げようなどというのは、まことに幼稚な手段と、冷ややかに見ているのがエアバス社である。

 7E7はソニック・クルーザーの灰の中から生まれた不死鳥などという人もいるが、内実は「グローバル・ギャンブル」に過ぎないと見る向きもある。ボーイング社がこれまで747を大きくして747Xを開発するとか、ソニック・クルーザーを開発するといいながら、いずれも途中でやめてしまった。7E7も同じような「紙ヒコーキ」に終わるのではないかとまで言う人がいるのも確かである。

(西川 渉、2003.6.15)

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