<ベルリン航空ショー>

NH90ヘリコプターを見る

  

 去る5月のベルリン航空ショーで、ユーロコプター社が最も力を入れたのがNH90ヘリコプターであった。ショーの直前ドナヴァース工場で量産1号機が完成し、飛びはじめたためである。その出来たての機体がショーにも展示され、元気いっぱいのデモ飛行を見せてくれた。


(写真を横にしたわけではありません)

 NH90軍用ヘリコプターはフランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、オランダの5か国が共同で開発したもの。担当メーカーはユーロコプター社、伊アグスタ社、オランダのフォッカー社である。最初の計画段階ではイギリスも入っていたが、1987年に脱退した。

 
(ユーロコプター社の記者会見で使われたスライドの1枚。
5か国の提供する資金で共同開発されたNH90がメーカー3社で製造されることと、
各社の製造分担比率が示されている)

 NH90はNATOの標準的なヘリコプターともいわれる。安全性、信頼性、整備性、実用性に重点を置いて設計され、敵から発見されにくく、NBC攻撃に対しても防御力を有し、耐衝撃能力も強くて生存性が高い。

 こうした基本にもとづき、NH90には戦術輸送(TTH)と海軍用(NFH)の2つの派生型がある。

 TTHは兵員14〜20人の搭載輸送が可能で、パイロット単独の計器飛行ができる。また多少の悪天候でも、昼夜にかかわらず、超低空の匍匐飛行が可能。

 NHFはパイロット単独で、さまざまな作戦任務を自動的に遂行し、他の艦船搭載機器とも連携できる。作戦遂行のための機器を大量に搭載して、4時間の航続性能を持つ。。

 

 構造的には、主ローターハブはチタニウム製でエラストメリック・ベアリングを持ち、4枚の複合材ブレードがつく。翼型と先端には最新の研究成果が採用されている。尾部ローターはベアリングレスの4枚ブレード。NFHの場合は主ローターと尾部パイロンが自動的に折りたたまれる。操縦系統は4重のフライ・バイ・ワイヤ。

 胴体は全複合材製で、重量や部品数の軽減をもたらし、耐腐食性も高く、耐用年数は無限。また敵のレーダーで捉えにくく、可動部品やシステムは最高の安全性を持つ。降着装置は完全引込み脚。主脚は車輪がひとつ、前輪は2重になっている。

 エンジンはチュルボメカ、ロールスロイス、MTUのメーカー3社の共同開発になるRTM322が2基。またはGE T700が2基。いずれもFADECがついている。

 最大離陸重量10,000kg、最大ペイロード4,600kg、作戦ペイロード2,500kg。最大巡航速度はNFHが290km/h、TTHが298km/h。航続4.5時間である。


(TTHの主な装備)


(NFHの主な装備)

 こうしたNH90ヘリコプターは、これまでに2,300時間の試験飛行を重ねてきた。そのうち半分の1,150時間がフライ・バイ・ワイヤによる操縦である。

 今後の開発日程は、TTHが今年9月まで飛行をつづけ、2005年4月に実用認定を受ける予定。またNFHは2005年まで試験飛行を続けて同年11月に認定を受ける計画である。

 量産機は、訓練用のTTHが2004年12月から引渡しに入る。実戦用の1号機は2005年6月に引渡される。またNFHは2005年12月から引渡しに入る予定。

 NH90は多くの欧州諸国に採用され、現在下表の通り325機の注文を受けている。さらに86機の仮注文があり、合わせて400機以上の注文だから、欧州最大のヘリコプター・プロジェクトというのも当然であろう。


NH90の国別受注内容

 NH90は、上の9か国のほかに、スペイン、ベルギー、イギリス、サウジアラビア、オマーン、オーストラリア、ニュージランド、シンガポール、さらには日本へも売り込み交渉が進んでいる、というのがユーロコプター社の記者発表であった。


(NFHの着艦テスト:ユーロコプター社提供)

 (西川 渉、2004.7.12)

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