<ヘリ・エキスポ2003>

ヘリコプターの需要予測

 

 米フォーキャスト・インターナショナル社は今年2月、ヘリエキスポ2003の開催に際して向こう10年間の民間ヘリコプターの需要予測を発表した。

 それによると、ヘリコプター・メーカーの引渡し数は2000年が990機、2001年が870機だったのに対し、2002年は835機にまで落ちこみ、2003年でやや回復するものの、全体としては低調を続けるだろうという。

 この2002〜2011年のもようは下図に示すとおりだが、いうまでもなく2001年9月の9.11テロの影響と世界的な不況が大きな原因である。10年間の最大値は2008年の905機に過ぎない。

 また10年間の引渡し数は合わせて8,642機、金額にして162億ドル(約1.9兆円)になるという。


ヘリコプター需要予測図

 需要の見方に関する特徴のひとつは、警察ヘリコプターである。これまでは、アメリカの多くの警察が軍の払い下げ機を使ってきた。しかし老朽化が進んで、運航費がかさむようになり、新しい機材への買替え時期になったものが多い。

 もうひとつはメキシコ湾など海底油田の開発が増えてきた。特に開発地域が沖合遠くの深い海域(deep water)へ拡大しつつあり、そのための大型機の需要が増えることになろう。

 またビジネス機としての需要も増える可能性がある。しかし、定期的な旅客輸送はさほど望めない。公共交通に使うには、ヘリコプターはまだまだ高いし、騒音も大きい。したがって、ここ10年以内にヘリコプター路線が普及するような可能性はきわめて小さい。バンクーバー、香港、フィンランドなどごく限られた地点でおこなわれているに過ぎないであろう。

 ヘリコプター救急が今以上にどこまで普及するか、これも楽観はできない。特にアメリカでは国民皆保険というわけではないから、医療費の回収に問題があり、ヘリコプターの運航費回収にも悪影響を及ぼしている。 

 とはいうものの、ヘリコプター市場は拡大しつつある。社長兼パイロットといったワンマン企業から、世界中に機材を送っている大事業会社まであるし、機材も600kgの2人乗りから総重量56トンものミルMi-26まで使われている。

 メーカーの方は10指を超えるが、お互いに業務提携をしている例が多い。ベル社とアグスタ社とか、ユーロコプター社とミル社である。

 メーカー各社はこの数年来、小型の単発機と双発機の開発に集中してきた。たとえばA119、ベル407、ベル427、EC120、EC130、EC135、MD600、MDエクスプローラーでなどである。

 これらが一段落した現在、次はもっと大きな機材へ向かいつつある。シコルスキーS-92は型式証明を取ったばかりだが、EC225やMi-38がそれに続いている。

 そして、向こう10年間の終わり頃には、うまくゆけばBA609ティルトローター機が実用になっているはず。また技術が進んで、ヘリコプターに対するパブリック・アクセプタンスが進む可能性もある。ヘリコプターの将来は、そのあたりの課題がいつどのように解消されるかによって大きく左右されるであろう。

(西川渉、2003.4.30)


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