ファーンボロ・ショー(5)
ユーロファイター 今回のファーンボロ航空ショーでは、欧州4か国が共同開発したユーロファイター戦闘機が初めて4機編隊のデモ飛行を見せた。英BAEシステムズ社は、この7月23日を「歴史的な日」と呼んでいる。というのは単に編隊飛行がおこなわれたばかりでなく、英政府がいよいよ空軍機として導入しはじめたからであり、正式愛称に「タイフーン」の名を採用したからでもある。
BAEによれば、この日ファーンボロの空はタイフーンの轟音が鳴り響き、地上もタイフーンの話題で持ちきりだった。会場では軍の導入開始のセレモニーがおこなわれ、英国防長官、空軍参謀総長、ユーロファイターのテスト・パイロットなどが出席、上空ではタイフーンの咆吼が祝砲のように聞こえたという。
(ファーンボロ・ショーの会場で4機の編隊飛行をするユーロファイター・タイフーン)![]()
ユーロファイターは戦闘機として、パイロットがスティック、ペダル、スロットルの操作によって思い通りの運動ができるが、その場合の迎え角、荷重(g)、ロール・レートなどは自動的に安全範囲の中に制限される。これをBAEは「ケアフリー」と呼び、そのシステムが組みこまれた操縦系統をもつ機体が最近初めて飛行試験に成功した。この試験機は、空対空ミサイル2基と近距離サイドワインダー・ミサイルを装備した形で飛行した。
このケアフリー・システム――いわば「心配ご無用」装置がつくと、パイロットが思う存分に限度を超えるような操縦操作をしても、コンピューターの自動制御によって、限界を超えるようなことはない。
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ユーロファイターは英、獨、西、伊の4か国が共同開発した戦闘機で、世界最新最強の機能をそなえる。その機能は今後40年間にわたって第一線に立つものという。
敏捷で、操縦性にすぐれた双発機タイフーンは、視界を越える広範囲にわたって制空権を確保することができる。接近戦にも強く、全天候性を有する。
このような安全性とすぐれた飛行特性に加えて、ユーロファイターは現用戦闘機にくらべて運用コストが安い。というのは信頼性が高く、自動テスト装置が内装されているので整備費がかからないからである。
(4機は英BAEシステムズの製造した機体が3機、ドイツ製が1機であった。)![]()
ユーロファイターは1983年、獨、仏、伊、西、英の5か国が当時出現したばかりのソ連の高性能戦闘機、ミグ29やスホーイSu-27に対抗するため、新しい多機能戦闘機の必要性を確認したことにはじまる。
翌84年から共同研究がはじまったが、1985年にはフランスが離脱、独自の戦闘機ラファールを開発することになった。1986年には残り4か国の作業を調整し、まとめるためにユーロファイター・コンソシアムが設置された。
原型1号機の初飛行は、計画発足から10年目の1994年3月29日である。以来、長年の試験飛行を経て、量産機は2002年4月5日にイタリアで、4月11日にドイツで、4月14日にイギリスで、相次いで初飛行した。
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エンジンはMTU(獨)、フィアット(伊)、ITP(西)、ロールスロイス(英)の各国メーカーから成るコンソシアム、ユーロジェットのEJ200ターボファンが2基。1基あたりの出力は、離陸出力が6,120kg、アフタバーナを使ったときが9,185kg。
空虚重量10,000kg、最大離陸重量21,000kg。大きさは主翼スパン10.95m、全長15.96m。乗員はパイロットのみの単座。練習機はタンデム複座である。最大速度はマッハ2.0。進出半径は1,390km。
火器は27ミリ・キャノン砲が固定装備。取替え可能な装備のためには13か所にハードポイントがあり、ロケット弾やミサイルを装備する。
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ユーロファイターの調達予定数は、ドイツが180機、イタリアが121機、英国が232機。スペインが87機で、合計620機だが、スペインは別に90機を仮発注している。これらの国では、現用トーネイドやジャギュア攻撃機の代替機として配備される。
ほかにオーストリアが今年9月末までにユーロファイター24機の発注をする予定。発注金額は179億ドルになるもよう。またサウジアラビアの採用も具体化しつつある。
(西川 渉、2002.7.30)
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