<スペース・シャトル>

「コロンビア」爆発

 

 スペース・シャトル「コロンビア」は去る2月1日テキサス上空で爆発、ついにフロリダの基地まで達し得なかった。爆発に至るまで何があったのか、カリフォルニアの海岸を越えてから6分間にどんなことが起こったのか、何故そうなったのか。

 原因については目下、米大陸を西から東へ横断するように落下した多数の断片を集めて、調査がおこなわれている。すでにさまざまな説が報じられているが、確定的なことはまだ分からない。逆にああすればよかった、こうすれば生還できた筈といった説も多い。コロンビアの事故について、英『フライト・インターナショナル』誌(2003年2月25日号)は、以下のとおり、時間的な経過を秒単位で報じている。

 時刻表示は、たとえば13.44.09はグリニッチ標準時の13時44分09秒をあらわす。

 その後5秒間のデータが落下した残骸の中から見つかったが、それによると上記信号が消滅したのち、左舷の抵抗増大に対抗して第3および第4のヨー・スラスターが噴射したらしい。

 こうした状況から、NASAは、コロンビアの異常な温度上昇が爆発7分前の太平洋上空にあったときから左主脚の部分で始まり、左翼および左舷が超高温に達したと見ている。

 その結果、コロンビアに何が起こったか。以下の写真に見るとおりである。

 この驚くべき写真は、アメリカから山野さん経由で送られてきたものである。イスラエルの宇宙衛星から撮影したという注釈がついている。

 真に迫った光景だが、どうやら作り物らしい。広大無辺の宇宙の中で、小さなスペース・シャトルを、それもマッハ20前後の超高速で突入してくるところをタイミング良く、こんなに鮮明に捉えるのは、残念ながら不可能だろう。また、背景の地球もどのように変化してゆくのか。距離が遠くて、一瞬の爆発だから動くようには見えないのかもしれぬが、空想写真にしてはうまく作ったものである。

 こうしたコロンビアの事故に関して、米『アビエーション・ウィーク』誌(2003年3月10日号)が「リスクを恐れるな」という読者からの投書を掲載している。

「1903年12月17日ライト兄弟がキティホークでリスクを冒して初の動力飛行に成功して以来、多くの人が命を賭して飛び、死んでいった。われわれが今日生きて飛んでいられるのは、彼らがリスクに命を賭けたお陰である。

 2月1日のコロンビアの事故も、乗員たちは悲劇の可能性を理解していたはずであり、他の宇宙飛行士たちも同様であろう。われわれは今後も宇宙への挑戦を続けなければならない。そのことが彼らの偉大な死をたたえることになるのだ。

 宇宙へ向かう勇敢な人びとに、リスクがあっても構わぬかなどと訊いて、名誉を傷つけてはならない。リスクを避けることこそ、恥なのだ。個人でも企業でも国家でも、自己満足に陥ってリスクを嫌っていればどうなるか。その結果は歴史の示すとおりである。

 今ここでアメリカの為すべきは、リスクを冒し、リスクを克服して、人類に貢献することである。リスクを避けようなどと考えて、命を賭けてきた先人たちの死を無にしてはならない。それこそは彼らに恥をかかせ、われわれも恥をかくことになるだろう」

 日本にも昔から「虎穴に入らずんば……」という言葉があった。一方で「沈香もたかず屁もひらず」というが、近頃はリスクを避けるばかりで、宇宙や虎穴はおろか屁もひらない国になってしまった。

(西川渉、2003.3.15)

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