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民間向けティルトローター機

BA609開発中止か

 ベル/アグスタ社が開発中の民間向けティルトローター機BA609は、関係筋によると、親会社のテキストロン社から作業停止の指示が出されたもよう。指示には「凍結」(frozen)という言葉が使われていて、「終結」(termination)ではない。けれども契約上の関係があって、いきなり終結とか中止というわけにはいかないためと見られる。

 テキストロン社の判断は、このBA609計画が余りに「コストがかかりすぎ」(costly)、余りに「複雑」(complicated)で、現今の航空市場では営業的に生き延びてゆく(survive)のが困難という見方にもとづく。

 この報道をベル社自体は確認も否定もしていない。が、もしも計画中止ということになれば、ティルトローター会社としての飛躍をめざしていたベル社にとっては、大きな痛手となるであろう。同時に、この計画に巨額の投資をしてきた伊アグスタ社との関係も複雑になってくるものと予想される。


(ベル社工場で組み立て中のBA609ティルトローター機)

 「ロータークラフト新時代」のサイトとして、最初に取り上げるティルトローターの話題が「開発中止」では、まことに情けない気持ちだが、やむを得ない。一昨年の軍用ティルトローターV-22オスプレイの連続死亡事故に、9.11多発テロが追い打ちをかけ、最近のベル社は従業員の大量解雇など苦しい立場にあった。

 その前にテリー・スティンソン会長の更迭も、その一環だったかもしれない。新しいジョン・マーフィ会長は無論、民間型ティルトローター機の強い支持者で、2月なかばの国際ヘリコプター協会(HAI)年次大会でも、計画推進について熱い信念を語ったばかりである。

 しかし信念や情熱も、資本の論理にはうち勝ちがたい。いかに立派な製品であっても、費用がかかりすぎては市場に受け入れられないし、無理に安くすればつくる方が参ってしまう。ここは中止というのが親会社の判断であろう。

 BA609計画には日本の冨士重工業も胴体の製造契約によって参加していた。その影響はどうなるだろうか。

 私にとって、BA609の計画凍結のニュースは落胆と心配が半々である。


(2002年2月14日HAI大会にて、ベル社マーフィ会長と) 

(西川渉、2002.3.18)

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