<ティルトローター>

BA609初飛行

 

 ベル・ヘリコプター社は3月7日、航空史上の新しい一頁が開かれたと発表した。初の民間型ティルトローター機BA609が同日初飛行したのである。

 この飛行は地上15mほどの高さに浮き上がり、ホバリングをして左右に旋転し、前進と後進の操作をして、4回の離着陸をおこない、ナセルの傾きをわずかに変え、安定性のテストをするなど36分ほど飛んだ。


(写真:ベル社提供)

 BA609はベル社とイタリア・アグスタ社が、ベル/アグスタ・エアロスペース社の名前で共同開発してきたもの。初飛行に先だって、同機は7週間の地上運転と走行試験をおこなった。

 テスト・パイロットのロイ・ホプキンスは「BA609は何事もなく初飛行を終わった。飛行ぶりは予想通りであった」と語った。この人は、これまでV-22オスプレイとXV-15ティルトローター実験機について、1,000時間以上の飛行経験を持つ。副操縦士はベル社のテスト・パイロット、ドゥウェイン・ウィリアムスであった。

 ベル社のジョン・マーフィ会長は「今日のBA609の初飛行は眞に歴史的な出来事だ。これでわれわれは垂直離着陸をしながら、高速、長距離の飛行も可能になった。これまでヘリコプターは最大速度が150ノット程度に限られてきた。その限界がBA609によって2倍に広がった。これは50年ほど前、ベルX-1が人類史上初めて音速を突破したことにも匹敵する」と語った。

 共同開発のパートナー、アグスタ・ウェストランド社のアメディオ・カポラレッティCEOも「BA609はすでに70機近い注文を受けており、間違いなく航空輸送に革命をもたらすだろう」と語った。

 BA609は今後、原型4機で試験飛行をしたのち、2007年にFAAの型式証明を取る予定。量産機の最終組立ては、ベル社のアマリロ工場とイタリア・アグスタ社の工場でおこなわれ、型式証明取得後すぐに引渡しに入る。胴体は日本の富士重工が生産する。

 BA609は巡航速度509km/h、航続距離1,400kmだが、増加タンクを装備すれば1,850kmまで飛べる。機体は防氷装置をつけ、キャビンは与圧される。


(写真:ベル社提供)

 ベル社から送られてきたこのニュースに接して、私は他人事は思えない喜びを感じた。航空の世界がまた一つ広がったのである。ひと月前の「プラント6」訪問を想起しつつ、ここにお祝いを申し上げたい。

(西川渉、2003.3.9)


ベル社プラント6で見たBA609(2003年2月8日撮影)

 

表紙へ戻る


 


[PR]話題の新車を無料プレゼント中:必ず当る抽選会!今すぐ応募で簡単GET