
<ティルトローター>
初の民間型BA609 ![]()
民間型ティルトローターBA609は、パリ航空ショーで発表されたところによると、最近までに第1段階、14時間の飛行試験を終わったもよう。この間、同機はヘリコプター・モードでホバリング、ペダル旋転、後進、前進などの飛行をおこない、高度1,500mまで上昇した。またエンジン・ナセルを前方15°まで傾け、最大速度185km/hで飛行した。
ベル社は、この第1段階の試験について、当初20時間の飛行が予定されていたが、所要データの全てが得られたために14時間で終わったとしている。今後は、この機体を分解して細部を検査し、第2段階以降の新しい試験機器を組み込んで数か月後に飛行を再開するもよう。
最終目標は2007年までに型式証明を取ることになっている。そのときの最大速度は飛行機モードで509km/h、航続距離は標準状態で1,389km、増加タンクをつけて1,850kmになる。
なお、型式証明取得までの作業を確実に進めるため、共同開発のパートナー、アグスタ社はベル社に対し、イタリア側の作業分担を50%近くまで増やすよう交渉中。現在はベル75%、アグスタ25%の割合だが、ベル社は軍用型V-22オスプレイの再試験に追われているため、その労力をイタリアで補いたい。その方がコストも安いはずというのがアグスタ側の言い分。そうなると来年初めにも、原型4機のうち1機はアグスタ社で試験飛行をおこなうことになるかもしれない。
以下の文章は2か月ほど前、「エアワールド」誌の求めに応じて、BA609の現状と、それまでの経緯を整理したものである。
BA609の初飛行 待望久しい民間型ティルトローター機、BA609が飛び始めた。初飛行は去る3月7日のことである。テキサス州アーリントンのベル・ヘリコプター飛行研究センターで、36分間にわたっておこなわれたもので、筆者はその一と月前、この飛行研究センターで同機が地上試運転と滑走試験を終え、飛行準備に入ろうとするところを見る機会があった。そのとき初飛行は4月なかば頃の予定と聞いたが、意外に早かった。関係者が意欲満々で仕事を進めたからにちがいない。これでBA609の開発作業は、いよいよ拍車がかかることになるだろう。
ベル/アグスタBA609の初飛行は、地上15mのホバリング状態でおこなわれた。左右の旋転を繰り返し、前進、横進および後進飛行がゆっくりと試みられた。総重量は最大離陸重量の3分の2程度であったが、エンジンは強力で、トルクを引く必要もほとんどなかった。その間、4回の離着陸をおこない、ナセルの傾きもいくらか変更したもようである。
それ以前、BA609は7週間にわたる地上試験をおこなった。試運転は2002年12月9日にはじまり、5週間に延べ32時間のあいだエンジンが回された。走行試験では最大50ノットを出したが、加速も減速も安定していて、そのまま浮揚してもいいほどだった。
テスト・パイロットのロイ・ホプキンズ機長も「初飛行は完璧だった。シミュレーターで経験した通りの飛行ぶりで、びっくりするようなことは何もなかった」と語っている。この人はXV-15実験機からV-22オスプレイまで、ティルトローターに関しては1,000時間以上という世界最多の飛行経験を持っている。BA609の初飛行は、彼とドゥウェイン・ウィリアムス副操縦士の2人が乗り組んだ。
ベル社のCEO、ジョン・マーフィ会長は、BA609の初飛行が終わって「今日は歴史の1頁を飾る重要な日となった。これで誰もがヘリコプターのように垂直に離着陸し、飛行機のように高速で長距離を飛べるようになった」と語った。「ヘリコプターは最大速度が150ノット程度に抑えられている。しかしBA609の飛行性能はヘリコプターの壁を超えて300ノットに近い。それはあたかも、今から 50年ほど前ベルX-1が初めて音の壁を破ったのと同じ意義を持つ」
BA609の共同開発にあたっているアグスタウェストランド社のアメディオ・カポラレッティCEOも「BA609は画期的な航空輸送手段になるだろう」という感想を表明した。
つづいて3月11日には2度目の飛行がおこなわれた。飛行範囲が広くなり、パイロットもパラシュートをつけていた。
今後は原型4機で試験飛行を進め、2007年初めまでにFAAの型式証明を取ることにしている。その後ただちに量産機の引渡しがはじまるが、製造組立はベル社のテキサス州アマリロ工場とアグスタ社のイタリアの工場でおこなわれる。日本でも富士重工で胴体、川崎重工でドアなどが製造されるが、日本政府から大量注文が出れば富士重工でも最終組立てをおこなうらしい。
こうした生産管理と販売や技術支援にあたるのは、ベル社とアグスタ社の合弁、ベル/アグスタ・エアロスペース社である。テキサス州フォトワースのアライアンス空港に本拠を置き、顧客のパイロットや整備士の訓練もここでおこなう。
(3月7日初飛行中のBA609/写真:ベル社提供)
BA609の構造と特性 では、BA609はどのような機体構造と飛行特性を持つのだろうか。機体外観は上翼の両端に大きなエンジン・ナセルがつき、その先端にプロペラとローターを兼ねたプロップローターがつく。ナセルを立てるとローターとしてヘリコプターのように水平に回転し、垂直離着陸とホバリングが可能になる。またナセルを前方に倒すとプロペラになり、ターボプロップ機のように高速・長距離の飛行ができる。このようなヘリコプター・モードから飛行機モードへの転換に要する時間は約20秒。逆の転換も、やはり20秒間でおこなわれる。なお地上での前傾は75°までに限られる。
尾部にはT形尾翼がつく。水平尾翼が高い位置にあるためローター後流が当たるようなことがなく、転換飛行の際の前後のピッチング・モーメントが小さくなる。水平尾翼には通常の昇降舵がつくが、垂直尾翼の方向舵はない。方向操縦は左右のローターでおこなうので、方向舵が要らないのである。
胴体は構造部分がアルミ合金、外板と翼が複合材である。降着装置は前輪式の引込み脚。前輪には2つのタイヤがつく。
エンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ社のPT6C-67Aターボシャフト(1.940shp)が2基。最大連続出力は1,725shp。1発停止の場合の緊急出力は30秒間に2,300shp。片方が停まっても、左右のプロップローターをつなぐクロスシャフトによって双方同じように回転する。このことは実際に地上試験の際にテストされ、さらに最大連続出力で30分間回しつづけた。
プロップローターは3枚ブレード。防氷装置がついていて、既知の氷結気象状態でも飛ぶことができる。
操縦室はコリンズ・プロライン21を主体とするグラス・コクピットで、パイロット2人が乗り組み、計器飛行も可能。操縦系統はフライ・バイ・ワイヤ・システムである。前方のディスプレイには飛行データや通信システムのほか、気象レーダーやTCAS4000衝突防止装置が組み込まれている。
主キャビンは最大9人の乗客が搭乗できる。機内は与圧され、乗降ドアは胴体右側前方にある。
巡航速度は509km/h。航続距離は1,340kmだが、増加タンクをつけると1,850kmまで伸びる。
BA609基本データ
BA609のさまざまな用途 こうしたBA609は、最近までに18か国、40社から70機以上の注文を受けた。顧客リストは明らかにされていないが、用途は主に石油開発支援や社用ビジネス輸送であろう。海底油田の開発支援には沖合500km付近のプラットフォームまで往復することができる。また救急救助にも適していて、機内にはストレッチャー2人分と医療スタッフ3人の同乗が可能である。
ビジネス機として使う場合は、利用者の望むところから望むところへ、いつでもどこでも安全かつ快適に飛ぶことができる。しかも、その機能はヘリコプターと飛行機の両方の役割を持つから、わざわざ空港へ行かなくともオフィスの近くから目的地の近くへ、高速で直行することが可能となる。多忙な企業トップにはヘリコプターと飛行機と乗用車と、場合によっては長距離の列車と船をも兼ねそなえた最適の移動手段といってよいであろう。
1機あたりの価格は1,000〜1,200万ドル(約12〜14億円)と伝えられる。
一方、ベル社は上述のような民間需要とは別に、BA609の飛行特性から沿岸警備に最適であるとして、HV609の呼称でUSコーストガードに提案している。最近の沿岸警備は洋上広範囲の監視が必要になってきた。コーストガードは、これを「ディープウォター・プロジェクト」と呼び、沖合遠くまで飛びながら、捜索救難を初め、密輸、密入国、密漁、麻薬などの監視が出来るような機材を求めている。
現状は、こうした任務のために飛行機とヘリコプターの両方が使われている。しかしHV609は、その両方の特性を有し、1機で2機分の仕事をこなすことができる。たとえば遠距離の捜索救難業務にHV609を投入する場合、その典型的な行動パターンは、沿岸基地から補助燃料タンクを装備して、できるだけ多くの燃料を搭載、短距離滑走離陸によって出動する。乗員は4人。500km近い沖合まで進出して、現場海域で45分間の捜索と救助に当たる。この間6人を吊り上げ救助して基地に戻るわけだが、総飛行時間は3時間になる。
このときの機体装備は容量270kgの吊上げホイスト、救助用バスケット、リッター、いかだ、ポンプなどで、救急医療器具も積んでいる。救出した遭難者を病院へ搬送するときは長距離を高速で飛び、気象条件が悪くても多少の氷結気象状態ならば突っ切って飛ぶことができる。必要によっては付近の艦艇に降りて、燃料補給を受けることも可能。こうしたことから、HV609は捜索救難機として完璧な能力を有し、時間的にも経済的にもすぐれた特性を持つ、というのがベル社の主張である。
もうひとつ、ベル社はBA609をV-22オスプレイの訓練機T-609として提案している。これでV-22そのものを使うよりも安い費用で、実際にティルトローターの操縦経験ができる。初めてV-22に乗る訓練生は、まずT-609でヘリコプター・モード、飛行機モード、とりわけ遷移飛行を体験することが可能となる。
XV-3からXV-15へ ベル・ティルトローターの足跡は半世紀ほど前にさかのぼる。1955年8月11日、XV-3が初飛行した。星形ピストン・エンジンP&W R-985(450hp)1基を胴体内部に収め、長いドライブシャフトを介して、主翼両端のローターを駆動する仕組みであった。ローターマストを前傾させるのは、各マストの根元に取りつけた電動モーターである。
操縦席は前後2席。初飛行は地上6m付近でホバリングしながら、機体を前後左右に移動させたが、安定が悪く、それ以上の飛行はできなかった。本格的な試験飛行がはじまったのは同年末だが、その後も振動に悩まされた。そのため、さまざまな手直しが加えられて、飛行機モードへの転換ができたのは1958年末である。
ベルXV-3単発ピストン実験機それから10年後、ベル社は新たなティルトローターの研究に乗り出した。1968年のことで、1972年にはNASAと陸軍から「ティルトローター研究プログラム」という契約を得て、XV-15実験機の開発が本格化した。試作2機のうち1号機が初飛行したのは1977年5月3日である。
その後2年間、慎重なNASAはなかなか遷移飛行に移ろうとせず、初めて飛行機モードに入ったのは1979年7月であった。1981年6月にはパリ航空ショーに出場し、疑問視する人の多い中で安定したみごとな飛行ぶりを披露した。
このときパリにきていたアメリカの政治家や政府高官たちも、初めて見たティルトローターに強い印象を受け、のちのJVX――3軍統合のVTOL計画につながった。これが今のV-22オスプレイに発展するのである。
なおXV-15は今も2機のうち1機が飛行可能で、BA609の予備実験のために使われている。その飛行ぶりは、筆者も何度か見学したが、離陸したと思うと離昇しながらローターを前傾させるので、遠くから見ていると、いつの間にか自然に飛行機モードに入っていて、そのまま上昇から巡航へ移るといった滑らかさである。
去る2月ベル飛行研究センターで見たXV-15
V-22オスプレイの開発経過 次に、V-22オスプレイについて、最近までの開発経過を簡単にたどっておきたい。
ベル社とボーイング・バートル社が米国防省からJVX共同開発の契約を受けたのは、ちょうど20年前、1983年4月26日であった。のちにV-22オスプレイと改称され、海兵隊向け進攻作戦用のMV-22、海軍向け戦闘救難用のHV-22、空軍向け特殊作戦用のCV-22と、3種類の派生型が開発されることになった。
V-22の初飛行は1989年3月19日。半年後の89年9月14日初めて完全遷移飛行に成功した。91年までに試験飛行のための5機が製作されたが、5号機は91年6月の初飛行に際し電気配線のミスによって墜落大破した。その後4号機も92年7月、エンジン・ナセルの火災によって墜落事故となった。
これらの事故によって、V-22は原型6号機の製造を中止、設計仕様の見直しがおこなわれた。改良型1番機が初飛行したのは1993年6月13日、つづいて2番機も9月に飛んだ。
一方、92年10月新しい仕様にもとづく前量産型4機の製作に関する契約が交わされ、V-22Bの呼称が与えられた。原型機を合わせた通算では7〜10号機にあたり、7号機は97年2月5日に初飛行、同年中に10号機まで完成し、パタクセント・リバー海軍基地で試験飛行に入った。
これらの試験を経て量産機の製造がはじまった。MV-22初号機が海兵隊に納入されたのは99年5月である。同年中に4機が引渡されたが、翌2000年4月「パワーセットリング」と見られる原因で1機が墜落、乗員と海兵隊員19人が死亡した。
つづいて12月にも4人が死亡する事故が発生、ティルトローターの開発中止を求める声も起こり、計画は大きく遅れることになった。そこで再び詳細な検討と改修がほどこされ、今から1年前、2002年5月29日に飛行が再開された。しかし、これはあくまで試験飛行であって、以前のような訓練飛行や実用飛行というわけではなかった。
試験飛行の結果は良好 では、V-22オスプレイの現状はどうなっているのだろうか。飛行試験は目下、パタクセント・リバー海軍基地とエドワーズ空軍基地の2か所で、東西に分かれておこなわれている。最も重視された高降下率試験は、上述の事故原因のひとつとなったパワーセットリングの解明と対策を目的とするものである。機体には特殊な計器と、飛行状態をパイロットに伝えるフィードバック・システムが組みこまれた。飛行試験の結果、危険な現象は発生しなかった。といって安全な範囲だけを恐るおそる飛んだわけではない。
ティルトローター独自の飛行特性を確かめるために、先ずは「40ノット以下の速度で毎分800フィート以上の飛行をしない」という限界いっぱいまでの飛行をおこない、その後さらに限界を超える飛行も試みられた。これにより、2000年4月の事故原因はティルトローターの本質にかかわる危険な現象ではないかと見るむきもあったが、ボルテックス・リング状態はヘリコプターでもよく知られた現象で、低速・高率の降下をしなければ避けられることがはっきりした。
最近は、CV-22による地形追随レーダーの試験飛行でも良好な結果を得ている。これは敵のレーダー網をかいくぐって低空で接近するのが目的だが、パイロットが所要の飛行高度をコンピューターに記憶させると、地面の起伏に沿って一定の地上高を維持するように、コンピューターがパイロットを誘導する。
具体的には飛行機モードの高速で地上90〜150mの低空を飛びながら、たとえば前方の地形が高くなると、パイロットに高度を上げるように伝え、地形が変わって地上高が高くなると降下を伝えてくる仕組みである。実際の試験では乱気流のある中で、地上60mの低空まで高度を下げて飛行した。
今後は夜間および計器気象状態で同じような試験飛行をする予定である。最終目標はパイロットが外界を見ることなく、砂嵐や原油の炎上する煙の中でも地形追随の低空高速飛行を可能にすることである。
オスプレイからのパラシュートによる降下試験もおこなわれた。これはローター後流など特殊な気流がある中でパラシュートへの影響を見るものだが、携行火器などを含めて重量70〜160kgの兵員が途切れることなく次々とオスプレイから降下し、障害となるような問題は出なかった。またコンテナ入りの物資も重量220〜450kgのものが後部の扉から投下され、同時に4個の投下も可能であることが確認された。
今年初めには侵攻艦イオージマへの着艦テストも終わった。このとき甲板上の風は毎秒25mだったが、パイロットは安定した状態で着艦できたと語っている。
今後はオスプレイの低速時の操縦特性の解明を初め、編隊飛行、悪天候下の飛行、作戦遂行ソフト、赤外線サバイバビリティなどの試験をおこなうことになっている。
オスプレイ
BA609の操縦資格 こうしてV-22オスプレイの再試験は着実に進んでいるが、もう一度BA609に戻ると、その開発はオスプレイの影響を受けて日程が遅れたものである。
BA609の設計作業がはじまったのは1996年9月。当時のベル社の需要予測は向こう20年間に1,054機というものだった。海底油田の開発支援が主な市場で、石油作業員9人の搭乗が基本的な設計概念であった。1人当りの平均重量は手荷物を含めて200ポンド(90kg)、飛行性能は巡航275ノット(509km/h)、航続1,400kmと想定された。
当時の開発スケジュールは原型4機を試作し、1号機は2000年12月に初飛行、2002年5月までに型式証明を取り、6月から量産機の引渡し開始という目標であった。実際は先に述べたように、2003年2月の初飛行だから2年余りの遅れである。また型式証明は2007年初めの予定で5年近い遅れとなる。初飛行から型式証明までの期間が長くなったのは、やはりオスプレイのトラブルを経験して二重、三重の確認作業をするなど、開発工程が入念で慎重になったものであろう。
では、民間型ティルトローター機が実現した場合、そのパイロットはどのような資格が必要だろうか。ベル社では目下、試験飛行に並行して、パイロットの訓練教程を作成しつつある。これにはFAAも関与しているが、訓練生は飛行機とヘリコプターの双方の事業用操縦士の資格を持ち、どちらかの機種について計器飛行の資格を受けていることが前提となっている。
そのうえで4週間の訓練期間中にシミュレーターと実機を合わせて56時間の飛行をおこなう。訓練の終了者にはFAAの「パワードリフト」操縦資格が与えられる。これは、従来の飛行機やヘリコプターの資格とは異なる新しい操縦資格である。
ベル社では、こうした飛行訓練をBA609の型式証明取得後まもなく始める予定である。将来はティルトローターの操縦教官課程や計器飛行訓練もおこなうことにしている。
訓練飛行はフォトワースのアライアンス空港でおこなう。整備士その他の訓練もここでおこなう予定で、訓練の内容は飛行整備、装備品の修理およびオーバホール、電気系統、操縦系統、アビオニクスの整備、複合材の修理、非破壊検査などである。
新しい航空交通体系へ ベル・ヘリコプター社は当然のことながら、BA609が必ずや成功するという固い信念の下に開発作業を進めている。BA609こそは将来のVTOL機の基本となり、そこから大きな流れが生まれるというのである。すなわちBA609が成功すれば、次はもう一回り大きな機材が出現し、それが旅客輸送に使われるという。
したがってベル社は、民間機としてのBA609について、これを大型化する構想を固めつつある。ベル619と626である。ベル619は総重量28,000ポンド(12,700kg)で、3,000shpのエンジン2基をそなえる。機内は左右4列の客席が19席になる。
もうひとつのベル626は総重量34,000ポンド(15,400kg)。旅客26人乗りのクォド・ティルトローターで、BA609の動力系統2機分を使い、胴体の前後に固定翼とローターを取りつける。尾部のT形尾翼はそのままである。
ベル・ティルトローター各種
こうした構想はNASAの考える新しいV/STOLプロジェクト「滑走路の要らない旅客機」(RIA:Runway Independent Aircraft)につながる。これらのティルトローター機が日常的な旅客輸送に使われるようになったとき、今の空港混雑は解消し、全く新しい航空交通体系が実現するであろう。
(西川 渉、「エアワールド」誌2003年8月号掲載)
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